痴呆単独通所介護デイハウス沙羅における統一ケア手段
伊藤美知
(有)イトーファーマシー デイハウス沙羅


 前回の発表で痴呆性高齢者へのホームヘルプサービスでの統一ケア手段を明らかにしたが、今回は、デイサービス内での統一ケア手段を、若干考察を加え、報告する。

デイハウス沙羅は、定員20名、利用者の介護度は、痴呆症状により介護度の高い利用者が多く、介護度3.4.5で利用者数の三分の二を占めている。要支援の利用者はいない。

デイサービスは、朝の迎えに始まり、夕の送りでサービスが終了する。その間、入浴、食事、アクティビテイ等のサービスを提供するが、さらに、個別にサービスごとの手順やかかわり方を明記し、ケアスタッフ間のケアの統一を図っている。
手段の概要は下記のとおりである。

1.フェースシートの作成
2.手順の作成
3.通所介護計画書の作成
4.サービス提供時の日誌の活用
5.ケア会議
6.情動に働きかけるケアの試み

痴呆高齢者の場合、利用者をよく知り、理解する努力がスタッフに求められる。さらには、利用者ごとの症状に対する適切な対応が求められる。又、これを、複数のケアスタッフの統一ケアにつなげるには、言葉でなく明文化することが求められる。そのため、上記の手段をもちいることになった。
そして、上記の手段に合わせ、個別の手順でスタッフが、個別にケア統一をしてサービスを提供したことにより、

1.行為ごとの欠損部分をスタッフがサポートするケアを始めたところ、利用者の精神状態が安定した。
2.個別の手順でサービスを提供していると利用者の、特に、失行、失認、実行機能の変化を日々確認することができた。
3.継続したサービス提供により、利用者との信頼関係が生まれ、ケアスタッフを受け入れ、情動にはたらきかけるケアの試みを可能にした。
4.ケアスタッフが変っても、利用者の精神状態の安定が図られた。
5.日誌の中から、変化を読み取ることができ、他職種との連携につなげることが容易になった。

 デイハウス沙羅は、開設して1年3ヶ月、スタッフは,この統一ケア手段を日々実践することで、利用者の精神的安定を図り,利用者の心に添った風の中に入っていくことができた.そのことで、利用者は落ち着いた日中を過ごすことができるようになった.利用者もスタッフも楽しいデイサービスづくりに、統一ケア手段は一役担っている。